『からくりサーカス』の物語は、現代日本を舞台にしながらも、過去200年にわたる因縁や錬金術の歴史が絡み合う、時代を超えた構成になっています。
主人公・才賀勝が登場するのは現代の日本で、彼が莫大な遺産を相続したことから物語が動き出します。
彼を守る人形使い「しろがね」や拳法使いの加藤鳴海との出会いを通じて、舞台はサーカス団や世界各地へと広がっていきます。

一方で、物語の根幹には19世紀のヨーロッパで起きた錬金術師たちの研究や、自動人形(オートマータ)の誕生といった過去の出来事が深く関わっており、回想や歴史的背景として描かれる場面では、19世紀末から20世紀初頭の雰囲気が色濃く漂います。
特に「しろがね」たちの起源や、ゾナハ病の発端などはこの時代に紐づいています。
つまり、『からくりサーカス』は現代を主軸にしながらも、過去の時代背景が物語の根底に流れているため、単なる現代劇ではなく、歴史とファンタジーが融合した壮大な年代記のような作品なのです。
時間軸が交錯することで、登場人物たちの運命や因果がより深く描かれ、読者に強い印象を残しているわけです。