嘘喰いの主人公といえば、やはり強敵に挑み続ける斑目貘をイメージする方も多いのではないでしょうか。
一方で、嘘喰いのストーリーに最初から登場し、メインのシーンに登場し続ける梶隆臣も、もう一人の主人公であることは、忘れられることが多いのも事実です。
そこで今回は、嘘喰いのもう一人の主人公、梶隆臣について紹介しましょう。
つらい過去を持つ梶隆臣
梶隆臣は、小者感のある素人ギャンブラーとして登場しますが、その背後には辛い過去があります。
実は周囲の大人たち全員から虐待を受けていたのです。
その内容は凄惨で、親の指示によって当り屋(わざと車に当たって事故の被害者になること)をやらされたり、母親の借金を背負わされて多重債務者になったりといったことなど読んでいてつらい気持ちになってきます。
冒頭でパチンコに通う多重債務者という描写があります。
これは、自分の背負った借金ではなく背負わされた借金なのです。
パチンコをしているのは、本人の判断かもしれませんが、その暗い過去が、物語初期における梶隆臣の姿といえるでしょう。
事実、初期の梶隆臣は、お人好しで頼りない性格です。
これは虐待を受けまいとして気づかないうちについてしまった、幼少期の梶隆臣が負ってしまった後遺症ともいえる状態なのです。
嘘喰いは、梶隆臣が過去から解放されていく姿を描いているといっても良いかもしれません。
実は全編を通じて最も成長したキャラクター
もともと強い斑目貘と比べると、初期の梶隆臣は素人同然のギャンブラーでした。
それが最終的にはもう一人の主人公、斑目貘と肩を並べるだけのキャラクターに成長します。
ここまで成長するキャラクターは嘘喰いの中でも梶隆臣だけです。
初期は、銃で狙われてパニックになる描写があったり、嘘喰いの世界において常人的な反応をしていました。
また、次の勝負でも「人間鑑定」によって100円というとんでもない安さに鑑定されてしまっています。
当初は貘に助けられっぱなしでしたが、その後成長を見せて助けなしでも相手に勝利し始めるまで成長しました。
また、外見にも変化があります。
最初は情けない顔立ちの一般人で、ややもすればモブになりかねないくらいの小者感あふれるキャラクターでした。
しかし、徐々に顔出しが引き締まってきます。
さらに獏と似通ったファッションと髪型になっていくのです。
セリフこそ、時々当初の素人のような発言があるものの、非常に熱い男になった姿は、多くの読者に衝撃を与えました。
読者と等身大、あるいはそれ以下ともいえるようなキャラクターでしたが、その成長によって大きな存在なるのは、注目すべきポイントといえるでしょう。
ギャンブル、アクション、そして梶隆臣の成長が嘘喰いの魅力を支える大きな要素になっているといっても過言ではありません。