
『うしおととら』は、藤田和日郎による長編バトルファンタジー漫画で、1990年から1996年にかけて連載されました。物語は、中学生の蒼月潮が、寺の地下に封印されていた大妖怪・とらを偶然解き放ってしまうところから始まります。とらはかつて多くの人間を喰らってきた存在ですが、目の前に現れた敵に立ち向かうため、潮と奇妙な共闘関係を築くことになります。
このふたりの関係は、敵対から始まり、旅や戦いを重ねるごとに信頼へと変化していきます。

とらは人間に対する憎しみを抱きながらも、潮と過ごす時間を通じて心を動かされ、潮もまた妖怪と共に戦う中で大きく成長していきます。
物語の核となるのは、世界を脅かす“白面の者”という強大な存在との最終決戦です。それに至るまでの過程で描かれるのは、単なるバトルではなく、人と妖怪の間に生まれる絆や葛藤、そして別れの切なさです。
藤田先生は連載開始時から最終話までの構想を持っており、物語全体に一貫したテーマと伏線回収の妙があります。すべてを描き切ったからこそ、多くの読者に深い感動を残す名作となったのです。

