「カイジ」に学ぶ!福本伸行流・極限の心理戦を演出する作画技法

「カイジ」に学ぶ!福本伸行流・極限の心理戦を演出する作画技法

「カイジ」の作家である福本伸行先生の作画・演出技法は、まるで「漫画の心理戦そのもの」とも言えるほど、読者の感情を揺さぶる仕掛けに満ちています。特に印象的なのは、キャラクターの表情の誇張です。カイジや対戦相手が極限のプレッシャーにさらされると、顔がひしゃげ、瞳孔が開き、汗が滝のように流れます。まるでホラー映画のクライマックスのようなこの描写が、読者にも「自分だったら…!」という緊張を疑似体験させるのです。

「ざわ…ざわ…」

また、「ざわ…ざわ…」の擬音は単なる効果音ではありません。不安や疑念が形を持って忍び寄るかのように、じわじわとページに広がり、読者の心にも染み込みます。さらに、福本作品では「決断の一瞬」が異常に長いのも特徴です。例えば、カードをめくるだけのシーンが数ページにも及ぶことも。長すぎる…と感じつつも、ページをめくる手が止まらないのは、福本流の「じわじわ追い詰める演出」が絶妙だからでしょう。
これらの手法によって、福本作品は単なるギャンブル漫画ではなく、読者自身が「心理戦の当事者」になれる唯一無二の作品となっているのです。

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