チ。-地球の運動について-』は、知識が命を脅かす時代に、真理を追い求める人々の姿を描いた異色の歴史漫画です。
舞台は15世紀の架空の宗教国家。地動説という概念が「罪」とされる中、若者たちは命を懸けてその理論を継承していきます。
物語は一人の主人公に依存せず、複数の人物が登場し、それぞれが異なる立場から「地球は動いている」という思想に触れ、受け継ぎ、そして託していきます。
登場人物たちは、知識を得ることで苦悩し、孤独を抱えながらも、誰かに託すことで希望をつなぎます。彼らの行動は派手ではなく、むしろ静かで慎重です。しかしその沈黙の中に、強い意志と信念が宿っています。

「チ。」というタイトルには、地球の「地」、血の「血」、そして知識の「知」など、複数の意味が込められていると解釈できます。それは、真理を巡る物語が単なる科学の話ではなく、人間の生き方そのものを問うものであることを示しています。
読者は、知ることの重みと、それを守る勇気について深く考えさせられるでしょう。
