
ヒーローを描くバトル漫画は数あれど、本作が他と常軌を逸している点、それは主人公サイタマが意味不明なほどに最強であることです。
町にモンスターが現れると、主人公サイタマは一撃で倒して去ります。地位も栄誉も称賛も与えられることなく、無償で戦います。
毎回圧倒的な画力でサイタマの日常と戦いが描かれます。
どんな敵が現れても結局パンチ一撃で勝負がついてしまうので、主人公は本気で戦える相手がいないことに深い絶望と倦怠感を抱いています。

そもそも普通の人間だったサイタマが、筋トレとランニングだけで地上最強となり、果ては宇宙空間まで飛ばされても平気でいるあたり、まったく科学的な整合性がないのです。
虚無的で常に無表情な主人公と、その異常な強さのギャップがおかしい、ギャグ漫画でもあります。
また、サイタマと正反対のキャラ・キングについても気になります。
主人公と違ってキング本人は何の実力も能力なく、基本的には引きこもりでゲームばかりしています。
にも関わらず、雰囲気と偶然と勘違いによってヒーローに祭り上げられています。
今後彼が成長して本物のヒーローになる日が、来るかもしれませんし、永久に来ないかもしれません。